文学
#210
野崎 歓
みすず書房 (理想の教室)
きょう、母さんが死んだ。アルジェリアの海、太陽、風を愛する青年は、激しく照りつける「太陽のせい」でピストルの引き金をひく。「よそもの」として現われたムルソーとわたしたちの心がふれあったとき、物語の新しい可能性が開かれる。「異邦人」新題・新訳。
#209
三原 弟平
みすず書房 (理想の教室)
芸人にとって断食はしかたなかった。なぜなら「口にあう食べものを見つけることができなかったから」。カフカの遺言ともいうべき作品を読み解く三部構成。まず一節ごとにテクストを注釈。次に作品と作者の関係を解き明かし、最後に同時代の日本の私小説と比較する。
#208
池内 紀
みすず書房
歴史の不条理や官僚制を告発する、きわめて深刻・まじめなカフカ。この定番のカフカ像を手放すと、どんな新しいカフカが現れるか? カフカの周辺をゆったり巡りながら、思わぬ風景や意外な核心を浮き上がらせる10編。
#206
池内 紀
白水Uブックス
「若くして亡くなった、奇妙な小説を書いた作家」という印象が強いカフカだが、人生においてはさまざまな、時には意外な顔をもっていた。公務員としての業績。スポーツなどの関心事。彼を愛した女性たちの共通点。「カフカ・コレクション」訳者による、ユニークな評伝。
#189
河合 隼雄, 村上 春樹
新潮文庫
「僕にとっての『小説の意味』みたいなものを総合的にすっと理解し、受けとめてくれた人は河合先生一人でした。『物語』が我々の魂にとってどれほど強い治癒力をもち、同時にどれほど危険なものでもあるかということを、深いレベルで把握しておられる方です」(村上春樹)
#174
深沢 七郎
中公文庫
小説「楢山節考」で中央公論新人賞を受賞し、異色の文壇デビューをした著者が、畏敬する作家たち正宗白鳥、武田泰淳、井伏鱒二などとの奇妙でおかしい交流を綴る。生涯を自然流に生きた異才の抱腹絶倒の文壇登場日記など。
#173
武田 泰淳
中公文庫
近隣への散歩、ソビエトへの散歩が、いつしか時空を超えて読む者の胸中深く入りこみ、生の本質と意味を明かす。妻百合子の口述筆記により執筆された。野間文芸賞受賞作。
#140
ポール・オースター, 訳:柴田 元幸
新潮文庫
自らが体験した驚くべき偶然の連続を淡々と綴る「赤いノートブック」、無名時代の貧乏生活を軽やかに描く「その日暮らし」、9.11直後のNYに捧げた「覚え書き」など、柔らかななかにも力強い声が聞こえるエッセイ集。日本独自編集。
#139
ポール・オースター, 訳:柴田 元幸
白水社
人々が住む場所を失い、食物を求めてさまよう国、盗みや殺人がもはや犯罪ですらなくなった国、死以外に逃れるすべのない国。アンナが行方不明の兄を捜して乗りこんだのは、そんな悪夢のような国だった。極限状況における愛と死を描く二十世紀の寓話。
#138
ポール・オースター, 訳:柴田 元幸
新潮文庫
人類がはじめて月を歩いた夏だった。僕は唯一の血縁だった伯父を失う。彼は僕と世界を結ぶ絆だった。僕は絶望のあまり、人生を放棄しはじめた。やがて生活費も尽き、餓死寸前のところを友人に救われた…。深い余韻が残る絶品の青春小説。
#137
J.D. サリンジャー, 訳:野崎 孝
新潮文庫
エゴとスノッブのはびこる周囲の状況に耐えきれず、病的なまでに鋭敏になっているフラニー。傷心の彼女に理解を示しつつも、生きる喜びを回復させようと説得を試みる兄ゾーイー。都会的な会話の中に心の震えを写しとって、若者の感受性を代弁する連作二編。
#136
J.D. サリンジャー, 訳:野崎 孝
新潮文庫
「それがどうしたと言われても困るんだけど、『ナイン・ストーリーズ』というのは実に素敵なタイトルです。それ以外ではあり得ない。九つの話がそれぞれの力を尽くして、ひとつの世界を支えている」(村上春樹)
#074
加藤 典洋
講談社
短編からアプローチする村上春樹論。英訳された短編作品をもとに、その時々のテーマのあり方、デタッチメントからコミットメントという創作態度の変化を論じ、村上春樹の全体像に迫る論考。
more info: 群像
#073
ジョン アーヴィング, 訳:村上 春樹
中央公論社
既成の文学観の埒外とも言うべき、アーヴィングのマッシブな小説世界はここから始まった。骨太、大胆、予測不能。傲慢なまでの若々しさと青春小説の特別な輝きに満ちたデビュー作。
#072
村上 春樹
新潮社
静寂な幻想世界と波瀾万丈の冒険活劇の二つの物語が同時進行して織りなす、不思議の国。第21回(1985年) 谷崎潤一郎賞受賞。
#071
村上 春樹
中央公論社
『午後の最後の芝生』ほか6篇。著者初の短篇集。
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